Sweet Day after

 

 

 

 

 

 

ホワイトデイのお返しを買うためにさっきから俺はショッピングモールを

行ったり来たり。

オペレーターの女の子たちからの義理チョコへのお返し…これはもう買ったから

後は、かわいいかわいいキラへのお返しだけなんだけど…

…さて、なににしよう…?

 

「お、これなんかキラ好きそう…」

 

ショウウィンドウに飾られたビンに入ったカラフルなバスキューブ。

風呂が好きだと言うキラにはぴったりかもしれない。

店の中は女の子ばっかりでものすごーく入りにくい…

その女の子の中に見知った銀色を見つけてしまった。

 

「……あれって…もしかしなくてもイザークだよな…」

 

見間違いかと思って何度も目を擦ってみるが、鮮やかな銀色は消えていなかった。

 

「…入らなきゃあれは買えないし…、イザークもいるし…入るっきゃないよなぁ…

イザーク、いつもにまして眉間に皺がよってるし…」

 

覚悟を決めて入り口をくぐる。

一斉に向けられる女の子の視線…

ディアッカあたりだと喜びそうだ。

視線が気になりつつも、俺はイザークの隣に立つ。

が、一向に気付く気配が無い。

…気配に聡いイザークが俺に気がつかないなんて…

こうしてとなりにつったっていてもしょうがない。

イザークを刺激しないように声をかける事にする。

 

「い、イザーク…?」

「み…ミゲル…っ!?貴様なんでこんなところにいるっ!?」

 

いや、イザーク、それ、俺の台詞だから…

 

「俺はキラへのお返しを買いに来たんだよ。好きそうなの見つけたし」

 

言いながら俺はディスプレイされた瓶詰めのバスキューブを手に取る。

うん、キラキラしてて綺麗だし、ラッピングにリボンでもかけて貰えば可愛いだろう。

いいもの、見つけたかも。

 

「なんだそれは?」

 

品定めしていた俺の横からイザークの声。

うを。そうだ、いたんだった…

 

「何って、バスキューブ。キラってすっごく風呂好きだし。」

「な、なぜ貴様がそんな事を知っているっ!?まさか…一緒に…っ」

 

うわ〜ぉ…アスラン並に素敵な脳内変化だな、をい…

 

「んなわけないだろ…本人から聞いたんだよ…。俺のことよりお前は決まったのか?」

「う…」

「決まってないわけね…」

「そ、そんなことはないぞ!!」

「キラの希望は?」

「…………聞けるはずないだろうっ!!」

 

…そりゃそうだ…ホワイトディ何がいい?なんて聞けるわけ無いな…かっこもつかないし。

 

「ぬいぐるみとかは?」

「…男にか?」

「かわいいもの大好きだぞ。キラは」

「なんで知っている…?」

 

イザークの声が低く聞こえたのは気のせいじゃないかもしれない。

…つーか嫉妬深すぎだろう…これは…

 

「キラの家に遊びに行ったことがあるからな。…そういえば軍の兵舎にはぬいぐるみが無い

って言ってたっけ…」

「ぬいぐるみ…ぬいぐるみか…」

 

またも、なにやらイザークは悩みだす。家に遊びに行った云々はうまい具合にスルーしてくれた

みたいだ。

 

「…なに悩んでんの?」

「ぬいぐるみを買うのはいいが、だぶってしまうのは我慢できん…」

「じゃ、こういうのは?」

 

俺が指をさしたのはテディ・ベア手作りキット。

心もこめられて一石二鳥だ。

 

「…なんだこれは」

「手作りテディ」

「誰が作るんだ?」

「キラにお返しをしたくて、ぬいぐるみがだぶるのが嫌なお前だろう」

「俺か?俺が作るのか?」

「世界に一つしかないキラだけのテディだぞ?」

「ぅ…」

「キラのチョコレートは手作りだったよな?」

「………っ わかった!作ればいいんだろうっ」

 

俺の手から手作りキットをひったくってレジへ持っていく。

イザークの顔がトマトのように、耳まで赤くなっている。

…カメラ持ってくればよかったかも

イザークに一言、がんばれよと囁いて俺は帰途についた。

 

 

 

イザークがくまを手作り…

結構笑えるかもしれない。

これをネタにしばらくからかえる。

…命がけだけどな

でも、大喜びするキラが頭に浮かんで微笑ましく思ったことはイザークにはまだ内緒だ。

 

 

 

 

後日、キラを起こしに行ったら、キラはしっかり少しぶさいくなくまを抱きしめて眠っていた。

 

 

 

 
またしても不思議です。
今度はキラの形がありません。
…しかし、いくら惚れた弱みとはいえぬいぐるみ作る
王子はちょっと怖いかも…



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